本日のお客様:浅井ケンタロウさん(25歳・フリーター)。先月退去したワンルームから「原状回復費9万円のご請求です」と書かれた紙が届き、財布を握りしめてとんでも不動産に駆け込んできた。「家賃より高いんですけど!?」を連呼。
退去立会いとは? 1分でおさらい

聞いてくださいよ!退去したら9万円請求されたんですよ!家賃6万なのに!!

落ち着いてください、ケンタロウさん。まず聞きたいんですけど、退去立会いってちゃんとされました?

タチアイ……? お祓いみたいなやつですか?

お祓いじゃないですよ!「退去立会い」は、退去日に管理会社の担当者と一緒に部屋の状態をチェックする手続きです。床の傷・壁の汚れ・設備の状態を二人で確認して、誰がどこまで費用を負担するかを決める場なんです。
退去立会いは、賃貸契約の最後にして最大の山場。立会いの時間は15〜30分が一般的ですが、ここで決まったことが後の請求金額に直結します。ぶっちゃけ、ここを軽く流すと「敷金が全額戻ってこない」どころか「追加で何万円も払う」ハメになります。
そもそも借主と貸主、どこまで払うのが正解?

でも、僕の部屋ちょっと汚れてたんですよ。床にビールこぼしたし、壁紙にカレンダー貼ったし。やっぱり僕が悪いんですか?

ちょっと待ってください、それ全部払う必要ないかもしれませんよ。国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」っていうのを出していて、借主と貸主の負担範囲が決まっているんです。

国が決めてるんですか!? じゃあ僕、国に味方されてる側!?

味方というか、ルールが決まっているんです。基本ルールは「通常の使用でついた汚れ・経年劣化は貸主負担、借主の不注意や故意でついた損傷は借主負担」。ケンタロウさんのケース、表で見たほうが早いです。
📋 原状回復の負担区分(国交省ガイドラインに基づく一般的な目安)
| よくある事例 | 誰が負担? |
|---|---|
| 家具の設置によるカーペットのへこみ | 貸主 |
| 日焼けによるクロスの変色 | 貸主 |
| 画びょう・ピンの穴(下地ボードまで届かない範囲) | 貸主 |
| 飲み物をこぼした跡の床のシミ(放置による) | 借主 |
| タバコのヤニ・においによるクロス全体の張替え | 借主 |
| 釘打ち・ネジ穴(下地ボードの張替えが必要) | 借主 |
| 通常のハウスクリーニング費用(特約あり前提) | 借主※ |
※契約書に「退去時のハウスクリーニング費は借主負担」と明記され、かつ金額が妥当な範囲(ワンルーム3〜5万円程度)であることが条件。実際の負担可否は契約書と物件状況により異なります。

あれ、ビールこぼしたの拭いて乾かしたんですけど、それでもダメですか?

すぐ拭いてシミになっていなければセーフです。逆に放置してシミになっていたら借主負担。正直に言うと、「気づいた時にどう対応したか」が分かれ目なんですよ。
退去立会いで損しない!チェック7選

もう退去しちゃったんですけど、次の引越しのために教えてください!何を気をつければよかったんですか?

同業者に怒られそうですけど、しっかり順番に教えますね。これは退去で損しないための7つの鉄則です。
① 入居時の写真を残しておく
入居初日に、部屋全体の状態をスマホで動画+写真で記録します。床のキズ、壁紙のシミ、設備の状態、すべて撮っておく。これがないと「最初からあった傷」を証明できず、退去時に借主負担にされやすいです。
② 退去日の前に自分でクリーニング
「どうせハウスクリーニング費を払うから掃除しなくていい」は半分正解で半分間違い。ガイドライン外の「明らかな汚れ」は別請求になることがあります。最低でも油汚れの拭き取り、水回りのカビ取り、ゴミ完全撤去はやっておきましょう。
③ 立会いには「契約書」と「入居時の写真」を必ず持参
立会いはほぼ口頭で進みます。「これは借主負担ですね」と言われた瞬間に契約書の特約条項、入居時の写真をその場で確認できる状態にしておくのがコツ。スマホに全部入れておけばOKです。
④ 立会い記録書には「全文確認」してからサイン
立会いの最後に「退去確認書」「精算書」などへのサインを求められます。金額・項目・備考欄まで全部読んでからサインしましょう。納得できない項目があれば「保留」とその場で伝えて、サインを一旦見送るのも選択肢です。
⑤ 「立会い時の写真」を自分でも撮る
担当者が「ここの壁、傷ありますね」と指摘した場所は、その場で自分のスマホでも撮影。後で「言った言わない」が起きた時のために、双方の認識を画像で残しておきます。
⑥ 請求書が届いたら「内訳明細」を必ず求める
「原状回復費9万円」のようなざっくり請求は要注意。クロス何平米×単価いくら、ハウスクリーニング何円、と項目ごとの内訳を必ず出してもらいましょう。出さない/出せない管理会社は、金額を盛っている可能性があります。
⑦ 納得できない請求は「ガイドライン」を盾に交渉
国交省ガイドラインの「経年劣化は貸主負担」「クロスは6年で残存価値1円」というルールは強力です。クロス全張替え費を満額請求された場合、入居6年以上経っていれば借主負担はほぼゼロが妥当。ガイドラインを引用しながら交渉してみてください。
「もう退去後だけど、減額できる?」9万円請求の戦い方

えっ、もう退去しちゃったんですけど、僕の9万円って減らせるんですか!?

諦めないでください。3ステップで動きましょう。①管理会社に内訳明細を要求 ②項目ごとにガイドラインと照らし合わせる ③おかしい項目を文書で異議申し立て、です。

異議申し立てとか、ちょっと怖いです……。喧嘩になりませんか?

大丈夫です。「ガイドラインに沿って再計算をお願いします」と書面で送るだけ。それでも応じない場合は、地域の消費生活センター(局番なし188)に相談すれば無料でアドバイスをくれます。
実務上、管理会社側もガイドラインを盾にされると無理筋の請求は引っ込めることが多いです。「経年劣化分を控除してください」と一言入れるだけでも、数万円単位で減額になるケースは珍しくありません。
敷金はいつ・どうやって返ってくる?

そういえば敷金1ヶ月分払ったんですけど、それっていつ返ってくるんですか?

契約書に明記されていることが多いんですが、一般的には退去日から1〜2ヶ月以内に振込で精算されます。原状回復費との相殺後の差額が口座に戻る形ですね。

3ヶ月経っても来ないんですけど!!

それは催促しましょう。「契約書の規定に基づき精算明細をご提示ください」と書面(メールでもOK)で送るのがおすすめです。今後はこういう確認も含めて、退去時の動きが大事になります。
敷金返還で揉めた場合、最終手段は少額訴訟(60万円以下の請求なら簡易裁判所で1日結審)も使えます。ただし、そこまで行く前に消費生活センター・宅建協会の苦情窓口で話がつくことがほとんどです。
まとめ:退去立会いは「準備」で9割決まる
退去時の請求トラブルの大半は、入居時と立会い時の準備不足が原因です。今日のポイントを最後にまとめます。
- 退去立会いは15〜30分の一発勝負。流されないこと
- 「経年劣化・通常損耗」は貸主負担、これが原則
- 入居時の写真・動画は退去時の最大の武器
- 立会い記録書は内容確認してからサイン
- 請求書は必ず項目別の内訳明細を要求
- 納得できなければ消費生活センター(188)に相談
- 敷金返還は1〜2ヶ月以内、遅延は書面で催促

ぶっちゃけ、立会いの場で「ガイドラインに沿って判断してください」と一言言えるかどうかで、数万円変わってきます。退去予定がある方は、今日のうちに入居時の写真を引っ張り出しておきましょう。







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